すべらない話『モロッコ編〜軟禁〜⑥』
道なき道を進む。
運よく、月夜である。
夜でも歩くには問題なさそうだ。
が、逆にアシュラマン一味に見つかる可能性も高い。
車が時々通る度に、岩陰に隠れたり地面に伏せてみた
りと脱走者だ。
おかGも僕も始めは楽しんでいたが、その元気は徐々
になくなっていく。
そしていつしか、疲れはモロッコ人への怒りへと変化
していたのだ。
1時間・・・、2時間・・・、3時間・・・。
ようやくアシラ駅の近くにたどり着く。
タクシーは停まっているが、アシュラマン恐怖症にな
ってしまい、またもや拉致されるのではとタクシーす
ら乗れない。
更に歩くこと1時間・・・街だ。
街につけば、当然モロッコ人がいる。
そして意味もなく近づいてくる。
『ジャッキーシェン、ジャッキーチェン』
モロッコ人から見れば、アジア人は皆ジャッキー
拳法の達人なのだ。
『ジャッキーチャン、ジャッキーチェン』(モロッコ人)
『はいはい』(僕、おかG)
『ジャッキーチャン、ジャッキーチェン』(モロッコ人)
『はいはい』(僕、おかG)
『ジャッキーチャン、ジャッキーチェン』(モロッコ人)
『も〜ええて・・・』(僕、おかG)
『ジャッキーシェン、ジャッキーチェン』(モロッコ人)
『・・・』(僕、おかG)
『へい、ジャッキーチャン』
あ~ああああああああ~!!ブチ
『ぬしゃ、うっしゃ~つた!たいぎゃ~にしとけよ!!!!!!』
飛びかかろうとする僕を、必死で止めるおかG。
モロッコ人からすれば、拳法の達人ぶち切れて
いるのである。
ただ事ではない。顔面蒼白だ
映画によれば、何人で飛びかかろうとやられてし
まうのだ
『Fuck!Fuck!』と応戦してくるが、相
手は、拳法の達人。
迂闊に手は出せない
しばらく、怒っていたがどうにか持ち直し相手に
するのを辞める。
しかし、その後も、何故か着いてくるモロッコ人。
宿を紹介すればいくらかのマージンがもらえるので
あろうか・・・。
一軒のHOTELを見つけそこに泊まることに。
長い1日が終わろうとしてた・・・。
が、これから、長いモロッコの旅の1日目であった。
※次号のモロッコ編は『アシュラマン一味との再会!』
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